無礼な。
咄嗟に立ち上がり、内股を仕掛けた。かつて柔道を３級まで修めた技術をもってすれば、小学校低学年など相手にもならない。男の子は簡単に宙を舞い、そのまま私に引き戻されて床に軟着陸した。
男の子「痛っ」
柔らかく尻もちをつかせたと言っても、全く衝撃がないわけではない。男の子が声を上げるのを無視して、そのままヘッドロックして頭をシェイクした。
周囲の大人たちが慌てて走り寄ってきた。
相手は上級貴族だと言う。しまった。
私は慌ててひざまずき、謝罪の言葉を述べた。
そのまま大人しく過ごして帰宅すると、両親は大喜びだった。どうやら子供部屋にも派閥というものが反映されており、私が投げ飛ばしてしまったのは非友好的な貴族家の子供だったらしい。しかも武門の上級貴族家だという。
大変なことになった。
しかし、翌日以降も問題は何も起こらなかった。先日の上級貴族の方の兄君も子供部屋におられたようで、ご指導くださったらしい。
私も大人たち（子供部屋担当の側仕え）に目をつけられたようで、子供部屋にいる間はこまめに交通整理が行われ、関わり合いにはならなかった。私は同い年のフロイデンと仲良くして日々を過ごした。